技能8、9:

無線教習、。ついにこの日がやってきた。たったひとりで車に乗るのである。

所内で初めて車に乗ったあの日、見知らぬ若い女子が無線教習でひとりで車に乗っている姿を見て「すごいなぁ。どれだけ通ったらあそこまで到達できるんだろうか。」と思っていたわけだが、その日は意外にも駆け足でやってきた。
もう自分の番なのだ。

今日は『まず場内を1周、ついで交差点●を左折、でまた外周半周したら、今度は交差点×を左折』みたいな左折用のAコース
こうやって聞くと簡単そうだけど、左折時の確認をここの場所で!合図はここらへんで!など書き込んであるマップを見ると頭はごっちゃごちゃになる。
とはいえ、無線が双方向通信でつながっているわけだし、いつもみたいに「次、左折ね。はい、確認して合図だしてー。」みたいな指示を頂きながら走るものだと思っていたので、Aコース100%暗記しました!という状態までは仕上がってなかった。

が、

時間になり、呼ばれていくと私の他にもうひとり男子が。(今時ちょっと珍しい細眉のヤンキー風の若者)
どうやら指導員ひとりに対して2人教習車がつくらしい。つまり常時無線のマンツーマンではなかったのだ。

もらえると思っていた指示がないどこか、教習が終わったら自分でここに駐車してねという指示を受け、震えながら無線車に向っていると先ほどの細眉くんが「俺、何番の車でしたっけ?w」と話しかけてきた。
おいおい今さっき言われたこともう忘れちまったのかよ、と思ったが耳に大きく光るダイヤのピアスにビビる三十路。清原かよ。
●番ですよ、と丁寧に回答したら、「無線2回目なんすけど、一人で気楽でいいっすよ!」と言い放たれた。彼はコースが完全に頭に入ってるのか、とても余裕の様子。こっちは緊張しながら無線車に乗り込み、発信時にだけ無線がつながった。

「準備できたら発進していいですよ」
それ以降、特に無線からの指示はなく、ただもくもくとコースに従って左折を続ける。
途中2回ほど「大丈夫ですかー?」という点呼的な確認が入ったが特になにか指摘を受けるでもなく前日に必死に覚えたコースを思い出しながら運転していると、さっきのピアスの彼が猛スピードで対向車線を駆け抜けていった。うん、きっと彼は運転初めてじゃないなw

まもなく時間だな、と言う頃に久々の無線。
「そろそろオシマイなので、最初に止まってた位置に駐車して戻ってきてください。」

駐車。。。
なんなら今日の左折コースなんかどうでもいいほど自分の中で難易度の高い出来事。
頭から入れるとはいえ、両隣には車がある。ガリガリゴリゴリやっちまったら大変だ。
緊張しながら右折し、スペースに徐行で侵入…。
最後に無線で「もう少しだけ前」という指示がきたけど、まぁなんとか真ん中にまっすぐ停める事ができた。
あれ、もしかしてセンスある?と調子に乗ったところでハンコゲット。


そして息つくまもなく、10分休憩のあとは連続してまた無線で今度はBコース(右折コース)。

さっき細眉くんが走ってたコースだ。
こちらも特になにもなく無事終了して、今日の技能教習はオシマイ。
無線はなにも教えてもらえないのね。自分でひたすら走るだけ。


あ、そういえば、他の教習生と会話したのあの細眉くんが初めてだったなー。
彼は教習所に入って最初のお友達。(嘘。顔も覚えてないw)